人と鬼とが棲む街の物語。現代の東京「茜街」という架空の街を舞台にした現代御伽噺。
文章力が高く、小説を読むかのように良く話のまとまった短編サウンドノベル。
≪感想≫
あまりにあれこれと書くと、先に全体像が見えてしまい、面白さが薄れると思うので、ココではあえてゲーム内容について解説しないことにしました。一言でいえば制作者の文章力が素晴らしい。理由あって、この“茜街奇譚”をプレイした時は海外放浪中でした。そのため、日本語の文章を読むのが5ヶ月ぶりで嬉しく懐かしい時だった。という事実を考慮にいれても、著名な小説家の本を読んでいるが如く、すらすらと状況が把握できて、登場人物の感情までも読み取れる文章力には驚きました。ゲーム終了後は久々に、良い小説を読んだ後の気分に浸ることが出来ました。
ストーリー構成は、読み進んでいくにつれて、後でなるほどと納得できる。解りやすくしっかりと考えられていて、つじつまが合わないという事は無かった。それほど、しっかりとした文章なので、登場人物に対する感情移入は凄まじい。その話の主人となった人物と同じく、「何があったんだろう?」と心配したり、呆れたり、愛しんだりと、自分の感情の起伏がわかるほどでした。そんなふうにして話の先が気になってしまう。最後まで一気に読ませる魅力を持っています。
現在風の受けがいい立ち絵も無く、ゲーム性の強いシステムがある訳でも無い。それでも紹介しようと思ったのは、魅力あるお話であったからに違いありません。硬派な人、一般的な人にオススメのゲームです。