人気作[今の風を感じて]を制作したヒデさん・辺境紳士さんによる次回作にあたる[天使の微笑]。[天使の微笑]は前作の[今の風を感じて]と同じく戦闘やチップなどの独自システムと、美麗なイラストと細かなキャラ演出により人間模様を色濃く描いたドラマチックアドベンチャーRPGです。
[天使の微笑]の主人公クルードは《闇の世界で最強と畏怖された暗殺者》。前作同様、経験値稼ぎによるレベルアップという概念自体無い上に、かつて最強と言われた剣術の使い手の主人公である為、チップやカード・アクセサリなどによって攻撃・防御力の補正は行えますが、ストーリー上の主人公の強さは変化しません。また、戦闘システム自体が剣士の一騎打ちという、他に類を見ない程に特殊であり、目押しによる反射神経や回復薬を使うタイミングなどが要求されます。
今作も前作同様に、経験値・レベルの代替えとなりキャラクターの成長に関わるチップやカード・アクセサリを探すことが重要となります。また、基本的にストーリーは一本道ですが、話の本質がより見えてくる隠されたイベントやキャラもあり、今作ではチップだけでなくイベント探しも重要となっており、ロールプレイングというよりもアドベンチャーといった色が強いです。イベント達成率は常時見ることができ、クリア後にデータを継承しての2周目でしか発生しないイベントや登場しないキャラなど隠し要素が多分に含まれており、そう簡単には100%に到達することは出来なくなっています。
ストーリーが上手くまとまっており、キャラクターは一人一人が個性的でキャラが生きてるのは流石といったところ。主人公クルードの暗殺者でありながらも、同時に父親でもあるという立場に立たされた心情が見事に伝わってきます。また、辺境紳士さんの様々に表情が変化する顔グラフィックによりキャラクターに感情移入しやすくなっています。
[今の風を感じて]とは違い主人公が暗殺者であり全体的にシリアス路線であるため、緊迫感あふれるイベントが多いですが、気軽なキャラ同士のやり取りに笑える場面もしっかりと盛り込まれており、心がなごむことも。