《クミとクマ》
少女とクマのヌイグルミの童話的RPG
【Windows 98/ME/2000/XP】 【フリーソフト】
8歳の女の子“クミ”が、母親が作ったクリスマスプレゼントの“クマのヌイグルミ”とともに異世界で魔王退治を行うという童話の絵本のようなストーリー。人名やアイテム、通貨にいたるまでお菓子関連の名前というほのぼのとした世界観と、動いてしゃべって人一倍感情をもったヌイグルミがメインキャラクターであるなど大変個性的。他のRPGには見られない新鮮味が感じられ、クリア後は幼い頃の純真な気持ちを思い起こしてくれるようなロープルレイングゲーム。
ゲームの特徴として日数制限が設けられており、宿屋で休むたびに1日経過してしまう。期日までに魔王を退治できないとゲームオーバーになるので、体力回復のため安易に宿屋で泊まることは避けたい。しかし、日が経過しないと発生しないイベント等もあるので、通常はアイテムで体力回復して、一つのイベント終了後に宿屋で泊まるなど、休養のタイミングがポイントになってくる。また、戦闘ではキャラクターごとの特殊能力をつかった役割が重要となってくる。戦闘を繰り返して経験値をためることよりも、イベントや街で本棚を探して本を読んだり、人から伝授してもらうことで“特殊技能”を修得することの方がより大切だ。これらキャラクター達の個性ある技を駆使しなければ、先に進むのは難しいだろう。
なんといっても、このゲーム最大の見所はキャラクター同士の会話と童話的なストーリー展開。いきなり異世界に跳ばされ魔王を倒さなければならないというハードな現実に直面しても、持ち前の健気さと幼い子特有の脳天気さで決して現実から逃げることのない“クミ”,愛嬌のある関西弁で鋭いツッコミを連発してプレイヤーを楽しませてくれ、時には物事の本質を的確に指摘する大人な発言も繰り出すクマのヌイグルミ“グレ”,異世界側の人間であり、魔物からクミを守ろうとする実直な騎士“ウェハース”の3人を中心としたユーモラスなボケとツッコミのやり取り。戦闘中でもお構いなしに漫才してくれる彼らは、最後までプレイヤーを和ませてくれる。
≪ 感 想 ≫
グレの大阪弁の台詞については、大抵の場合文章で書かれた大阪弁というのは違和感を感じるものなのですが、台詞回しが上手いのか自然と受け入れられました。また、全ての事由に無駄がなく、しっかりとした意味を持っていて、後で「あ〜なるほど」とわかってくるシナリオ設定には関心しました。
漫画やドラマで最近よくある大人の駆け引き的なドロドロしたストーリーが多い中、このように絵本的なやりかたで上手にまとめ上げて、なおかつイヤらしく無いほのぼのした心温まるストーリーはなかなかお目にかかれないと思います。大人になるにつれて少しずつ薄れていってしまった感情を思い起こしてくれたような気がして、ラストでは年甲斐もなく目がうるうると緩んでいました。子供はもちろんの事、大人の方でも感動できるゲームです。ぜひぜひ、やってみてください。
|