猫を題材にした世界観のストーリーと魅力あふれるキャラクター。要所で挿入されるCGとフルボイスの美麗な“デモムービー”による演出や戦闘システム、現実の時間概念を導入した“時間帯システム”など見所満載。ディオスト大陸の「猫種族」を舞台にしたファンタジー・ロールプレイングゲーム。
≪ ストーリー ≫
人語を解する野生の猫たちが進化した猫種族が"ディオスト大陸"に住み着いた。猫種族たちは魔物に対抗するべく"妖術"を身につけるようになった。また、長い歴史において神話も真実となり、特殊な能力を持つ猫は千年以上の長い生命を神より与えられた。
千年前、"殺人猫"と呼ばれるエックス=マーダーによって世界は破滅に追いやられた。その破滅の危機は、後に"救世主猫"と呼ばれることとなるゼット=セイバーの手によって救われることになる。その時に、"未来予知(サキヨミ)"の能力を持つ猫がこう告げた。「千年後、二人の“キャット”が出会った時、世界は再び破滅に追いやられる」と…。 そして、予言より千年経った今、ついに再び二人の“キャット”は出会った。
≪ システム ≫
このゲームで一番のウリはなんといっても、豪華で目を引く“デモムービー”だ。単なるイベントイラストとは違い、少し動画風味となった「ムービー風イベントイラスト」となり、そしてなんとフルボイス。その作画総枚数は差分含め100枚以上になるという。また、キャラクターボイスも制作者が選りすぐった豪華キャスティングというだけあって、違和感なく上手い。これによりキャラが立ち、ストーリーをより一層と盛り上げている。
さらに注目すべきは、「時間」の概念を導入した“時間帯システム”だ。これは現実世界の時間と同じようにゲーム内の時間も止まることなく経過していく。つまり「朝・昼・夕・夜24時間制(現実の時間30秒=ゲーム内の1時間)」となる。キャラ同士で会話している時も常に時間は経過している。それによりゲーム画面も、昼・夕・夜と見た目が変わってくる凝り方がすごい。またそれに伴い、昼と夜で出てくる魔物も変わってくるのだ。
戦闘システムは、タイムゲージが満タンになったキャラから行動できるサイドビュー・アクティヴタイムバトルとなっている。このアクティブタイムのスピードは速くしたり遅くしたりと設定変更可能な点が嬉しい。戦闘中はもちろんフルボイス、おまけに戦闘開始時と終了時にもキャラが喋るなど、その作り込みには頭が下がる。また、レベルアップとともに使える技や妖術などが増えていく。その種類と数も豊富でいうことがない。
≪感想≫
正直驚きました。キャラの立ち絵もコロコロと感情を表現するごとに変わるし、キャラごとの声優はみんな上手く、キャラの魅力を引き立てている。なによりもオープニングだけかと思っていたアニメーションやクオリティの高い挿絵が、イベントになると惜しげもなくガンガンと入るのにはビックリでした。
また、エンディング後も、世界を歩き回れるようになっていて、各種サブイベントがプレイできるようになっていたり、特定の条件を満たすと「裏シナリオ」をプレイできるなど、やり込みが出来るのも大いに評価したいところ。制作者サイトには丁寧でわかりやすい攻略ページがあるのも親切です。
このような作り込まれた、なおかつライトユーザー層もカバーできるRPGが出てきた事が嬉しい。
今年は、著名なフリーゲーム制作者さんの閉鎖や公開停止が相次ぎ、もうフリーゲーム界も下火になってきているのかと、寂しい気持ちになってきていた矢先に、このゲームと出会えて、改めてフリーゲームの凄さを実感しました。まだまだフリーゲームは僕らを魅せてくれる。まだ大丈夫なんだと。