俺、小日向 薫(こひなた かおる)はわけあって高校一年の一学期を棒にふった。それを取り戻すべく意気揚々と学校へ通う俺の靴箱に、なんとラブレター?が入っていた。差出人はクラス委員もつとめている美少女だ。うるさい外野をなんとかかわし、心をときめかせつつ待ち合わせ場所へと赴いた俺は、その少女の脚に側頭部を薙ぎ払われ、失神した……。
「この学校に三人小日向姓がいるけど……皆、殺し合うために在籍しているのよ」
勘弁してくれ。
たのむから、改名させてくれ……。
災難から逃れようともがく薫と、薫を守ろうと努める椎子。そして、強力な敵、啓二。
三人の小日向が辿り着く闘いの終焉は……
『上記、ゲーム作者紹介原文』
≪感想≫
あまり弱点を言うのは好きではないけど、より多くの人にプレイしてほしいので初っ端からあえて言っておきます。それはキャラ絵がそれほどうまくない事。絵を見てすぐに終了ボタンを押してしまう人もいるかもしれないけど、ちょっと待った!そこは気にせず読み進めていってほしい。私の場合は途中で慣れてきて気にならなくなるどころか、逆に『味があって良いじゃないか』と思うようになり、今ではむしろ好きになってきました。第一印象で判断すると損するかもよ?
そして大事な中身。文章は全体的にテンポが良く読みやすい。ストーリーは日常と非日常的な部分の緩急の付け方が上手く、どういう展開になっていくのか気になってしまう。後半にさしかかると緊張感のある盛り上がりをみせていき、ヒロインの健気な行動にも心打たれる事でしょう。
また、セリフ回しがしっかりしているので、誰が喋っているのかが把握しやすい。特に主人公の友人である加納とのやりとりが面白く、まるで漫才のよう。このような楽しい日常描写の他にも、バットエンドになった場合にでてくる“加納と小夜子のヒントコーナー”での全くヒントとかけ離れた漫談が、とてつもなく楽しいのです。なので、ぜひ一度はバットエンドになってみてほしいところ。
紹介現在(2006/08/15)一通り話として遊べるのは「椎子編」「都紀子編」のみ。「時雨編」はまだ未完成で前半のみプレイできる。一編だけでも、十分ゲームとしてのボリュームがあるのに、「時雨編(後半)」や「小夜子編」なども誠意制作中ということで、今後にも大いに期待したい。バージョンアップが待ち遠しいゲームです。